2019年 随感

ドイツの伝統行事と移民・難民問題


ドイツは人口の過半数がキリスト教徒で(カトーリッシュ29.9%、エヴァンゲーリッシュ28.9%、2017年連邦統計庁)、クリスマスは最も大切な祭日です。フランクフルト在勤中、いつも泥だらけの隣家のいたずら坊主が背広にネクタイ姿で現れ、両親に従ってミサに行ったのにはびっくりしました。

日頃キリスト教徒に課される教会税を払うだけで教会に行かない人たちも、ミサには参加して祈りを捧げます。決してバカ騒ぎはしない静謐(せいひつ)な聖夜です。勤勉で質実剛健なドイツ人に相応しい宗教的伝統を目の当たりにした思いでした。

ところが大晦日には、これが同じドイツ人かと疑うほど、町中が飲めや歌えの乱痴気騒ぎとなり、カウントダウンが始まる前から若者たちは爆竹で越年を祝います。我が家が初めてハンブルクで大晦日を迎えた時は(1965年)、教会の24時の鐘と共に港やアルスター湖畔で一斉に大仕掛けの花火が打ち上げられ、爆音がはらわたに響き、夜空は忽ち火の海と化しました。思わず幼いころ名古屋で経験した米軍機による大空襲を思い出しました。この爆竹や仕掛け花火によるバカ騒ぎも全独共通の伝統的なものです。

難民が3年前ケルンの大聖堂前広場で起こした集団暴行事件は、ドイツの伝統的お祭りに悪乗りした許しがたい暴挙です。ドイツでは、カウントダウンの瞬間はそばにいる初対面の人に抱擁しても許される古くからの習慣がありますが、これが難民に悪用され、騒ぎがエスカレートしたものと思われます。

最近はキリスト教徒が減少する一方、旧東独出身者を中心に教会税が免除される無宗教者が2961万人(35.7%)にも達し、出生率が高いムスリムが360万人(4.3%)を越えていると言われています(fowid.de 2016)。将来のドイツのクリスマスはどうなるのでしょうか?

難民政策のポイントは、人道主義に根差しながらも、少子化によるドイツの人口構成を補正するドイツ居住者として、またドイツの社会保障制度の担い手として、どうしたら難民をドイツ社会に同化(integration) させることが出来るかです。 横浜市とフランクフルト市のパートナー提携5周年式典が2年前にフランクフルトのカイザーザールで行われました。祝辞を述べた私に握手を求めた副市長さんの名刺には「Integration(同化政策)並びに教育(Education)担当」と記されていました。前年の2015年に約百万人の難民が入国したのち、彼らのドイツ社会への適応が喫緊の課題となり、ドイツ語教育と職業教育が各自治体の最優先課題となった由でした。

キリスト教国が、大量に流入したムスリムを同化させることが可能なのか? 壮大な歴史的実験がいまドイツで進んでいます。

JDGYは今年設立9年目に入ります。今年一年の会員皆様のご健勝・ご多幸をお祈り申し上げます。(了)      横浜日独協会会長  早瀬 勇


会長メッセージ履歴:
2018年1月 2017年1月  ⇒2016年1月  2015年1月  2014年1月  2013年1月
全国日独協会連合会設立25周年記念式典に出席して(2013年6月)


Vorstaendeliste der JDGY

会長
早瀬  勇(Isamu Hayase)
副会長
能登  崇(Takashi Noto)
副会長
向井 稔 (Minoru Mukai)
常務理事
坂井 啓治 (Keiji Sakai)
常務理事
小島 拓人 (Takuhito Kojima)
常務理事
南雲 淑子 (Toshiko Nagumo)
常務理事
山口 利由子 (Riyuko Yamaguchi)
常務理事
齊藤 進治 (Shinji Saito) (事務局長・会計)
理事
黒崎 稔(Minoru Kurosaki)
理事
大久保 明(Akira Okubo)
理事
ロベルト・ゼーリッヒ(Robert Selig)
理事
ハンス・ユーデック(Hans-H Judek)
理事
神永  晉(Susumu Kaminaga)
理事
成川 哲夫 (Tetsuo Narukawa)
理事
山岸  隆 (Takashi Yamagishi)
理事
磯貝 喜兵衛 (Kihei Isogai)
理事
中尾 尚未 (Naomi Nakao)
理事
寺澤 行忠 (Yukitada Terazawa)
理事
佐藤 恵美 (Emi Sato)
理事
藤田 香 (Kaori Fujita)
理事
大堀 聰 (Sou Ohori)
理事
大瀬 克洋 (Katsuhiro Ohse)
理事
北井 康一(Koichi Kitai)
監事
四方田 彰(Akira Yomoda)
監事
戸田 龍介(Ryusuke Toda)
名誉顧問
林 文子(横浜市長)
名誉会員
兼子 良夫(神奈川大学学長)
顧問
瓜谷 綱延(株式会社文芸社社長)
顧問
織田 正雄(日独協会理事)
運営委員
大治 はるみ(Harumi Ohji)
運営委員
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